「内見は他社で、契約だけネット」は本当にお得?不動産屋からお願いしたいこと
最近、賃貸のお部屋探しにもいろいろなサービスが増えました。
全国対応。
オンライン完結。
来店不要。
仲介手数料が安い。
便利ですし、こうしたサービスそのものを否定するつもりはありません。
ただ、不動産屋として一つだけ知ってほしいことがあります。
「内見は近くの不動産屋でしてください。そのあと契約だけ当社でやれば安くできます」
もし、こんな使い方をするのであれば少し考えてほしいです。
なぜなら、
SUUMOやHOME'Sで当たり前のように見ている物件情報や写真は、勝手にネット上へ出てきているわけではないからです。
SUUMOで部屋を探せるのは当たり前ではない
スマホを開けば、
家賃。
間取り。
築年数。
駅徒歩。
設備。
外観。
リビング。
キッチン。
お風呂。
洗面所。
収納。
何十枚もの写真を見ながら、自宅で部屋を比較できます。
SUUMO自身も、賃貸の物件詳細ページで写真や地図、取扱店舗などを確認できる仕組みを案内しています。学生マンション・学生会館ナビ
便利ですよね。
ただ、その情報を掲載するまでには仕事があります。
誰かが物件を探して、登録して、更新している
ポータルサイトに物件を掲載するには、
募集物件を探す。
条件を確認する。
家賃を入力する。
間取りを登録する。
設備を登録する。
写真を用意する。
掲載する。
募集が終わったら更新する。
新しい募集が出たらまた登録する。
こうした作業が必要です。
実際、SUUMOの不動産会社向けサービスでも「物件情報の登録・更新作業に時間がかかる」ことを課題として挙げています。SUUMO賃貸ビズサポート
ネットに物件が載っている裏側には、人の仕事があります。
きれいな室内写真も、誰かが現地まで撮りに行っている
これも忘れられやすいところです。
ネットで、
「この部屋いいな」
と思ったきっかけが、室内写真だったとします。
その写真は誰が撮ったのでしょうか。
スタッフが車で物件へ行く。
鍵を手配する。
部屋へ入る。
リビングを撮る。
キッチンを撮る。
お風呂を撮る。
洗面所を撮る。
トイレを撮る。
収納を撮る。
外観を撮る。
会社へ戻る。
写真を整理する。
物件ページへ登録する。
お客様は無料で写真を見られます。ただ、写真を作る側のコストがゼロなわけではありません。
ポータルサイトへの掲載にも費用がかかる
不動産会社はSUUMOやHOME'Sなどを使ってお客様へ物件情報を届けています。
HOME'Sも不動産会社向けに物件掲載サービスを提供し、掲載料金について問い合わせを受け付けています。株式会社LIFULL(ライフル)
つまり、
物件をネットに載せること自体が、不動産会社にとって事業上のコストです。
掲載費。
物件登録をする人件費。
写真撮影の人件費。
移動費。
店舗。
営業スタッフ。
システム。
いろいろな費用があって、今の便利なお部屋探しが成り立っています。
内見にも人と時間が動いている
ネットで気になる部屋を見つけた。
問い合わせる。
不動産屋へ行く。
条件を相談する。
空室確認をしてもらう。
鍵を手配してもらう。
車で物件まで連れて行ってもらう。
室内を案内してもらう。
採寸してもらう。
質問に答えてもらう。
ここまでやってもらった。
そして、
「ありがとうございました。契約だけネットの安い会社でやります」
これが増え続けたらどうなるでしょうか。
「契約する会社だけが不動産屋の仕事をした」わけではありません
賃貸仲介の仕事は、
契約書を作ることだけではありません。
むしろ、お客様から見えやすいサービスの多くは契約より前にあります。
物件情報を集める。
写真を撮る。
ネットへ掲載する。
問い合わせに対応する。
条件を聞く。
物件を提案する。
空室を確認する。
鍵を手配する。
内見へ行く。
採寸する。
メリットとデメリットを説明する。
比較する。
そしてようやく、
「この部屋にします」
となります。
ここまでの仕事を別の会社にやってもらって、
最後の契約だけ安い会社へ持っていく。
短期的には、お客様にとって得に見えるかもしれません。
ただ、それが当たり前になったらどうなる?
ここからが一番伝えたいことです。
もし多くのお客様が、
「物件探しと内見は店舗のある会社。契約だけ一番安いネット会社」
という使い方をするようになったら。
物件を掲載している会社は、
ポータルサイトへお金をかける意味が薄くなります。
写真撮影へ人を出す意味も薄くなります。
大量の物件を登録・更新するために人を雇うことも難しくなります。
内見へスタッフを出すことも難しくなります。
これは特定の会社がどうなるという話ではありません。
そのコストを誰も負担できなくなれば、今のお部屋探しの仕組み自体が維持しにくくなる、という話です。
「SUUMOで写真を見て探せばいい」ができなくなるかもしれない
ここは少し想像してみてください。
今は家でスマホを開けば、
「このキッチン好き」
「この部屋広そう」
「この洗面台いい」
「この収納なら足りそう」
と比較できます。
写真がたくさんある。
物件がたくさんある。
条件検索できる。
最新情報へ更新される。
これは非常に便利です。
HOME'Sも、募集終了物件を自動で非掲載にするなど、物件情報の鮮度を高める取り組みを続けています。株式会社LIFULL(ライフル)
ポータルサイトと、そこへ情報を提供する不動産会社の両方が動いているから成り立っている環境です。
安い会社を選ぶな、と言いたいわけではありません
ここは誤解してほしくありません。
オンライン型が悪い。
店舗型が正しい。
仲介手数料が安い会社はダメ。
そんな話ではありません。
何を重視するかはお客様が決めればいいと思っています。
すでに借りたい物件が完全に決まっていて、
内見も必要ない。
提案も必要ない。
店舗も必要ない。
写真も自分で探す。
契約手続きをできるだけ安く済ませたい。
それなら、オンライン中心のサービスが合う人もいるでしょう。
お願いしたいのは「サービスを受けた会社で契約する」という考え方
一番伝えたいのはこれです。
この会社に相談して良かった。
良い部屋を探してくれた。
写真が分かりやすかった。
内見が楽しかった。
細かいところまで測ってくれた。
自分では気づかなかった部屋を提案してくれた。
スタッフが親切だった。
そう思ったなら、
できれば、その会社で契約してあげてください。
仲介手数料は、
最後に契約書を作る数十分だけに対して支払っているものではありません。
その部屋にたどり着くまでに受けたサービス全体も見てほしい。
そう思っています。
美容室で相談して、カット直前に別のお店へ行くようなもの
少し極端なたとえですが、
美容師さんに、
「自分に似合う髪型を考えてください」
と相談する。
髪質を見てもらう。
顔型を見てもらう。
似合うスタイルを提案してもらう。
写真を見ながら細かく打ち合わせする。
そこまで全部してもらって、
「じゃあカットは安い店でやってきます」
となったらどうでしょう。
価格だけを見れば合理的かもしれません。
ただ、
最初のお店が提供した価値まで無料だったわけではありません。
不動産仲介にも似たところがあります。
不動産屋は「契約する場所」だけではありません
良い不動産屋の価値は、
契約書を作ることだけではありません。
自分では見つけられなかった部屋を見つけてくれること。
ネットだけでは分からないことを教えてくれること。
失敗しそうな物件なら止めてくれること。
面倒なお部屋探しを楽にしてくれること。
そこにも価値があります。
Nタウン不動産もポータルサイトや写真撮影に力を入れています
Nタウン不動産でも、物件情報を登録し、スタッフが実際に物件へ行って写真を撮影しています。
お客様がネットを見たとき、
「この部屋、見てみたい!」
と思えるようにするためです。
内見でも、
ただ鍵を開けるだけではありません。
写真を撮る。
採寸する。
比較する。
質問に答える。
その人が本当に住みやすいか一緒に考える。
そうした部分まで含めて、仲介サービスだと考えています。
だから「内見だけお願いします」は少し悲しい
ネット契約の会社から、
「内見は近くの不動産会社でしてください」
と言われたから来店する。
案内してもらう。
部屋が気に入る。
そして契約だけ別の会社へ。
もちろん、最終的にどの不動産会社を選ぶかはお客様の自由です。
ただ、
その仕組みが誰の仕事と費用の上に成り立っているのかだけは、少し知ってほしいです。
数千円・数万円だけではなく「どんなサービスを残したいか」
安さは大切です。
初期費用を少しでも抑えたい気持ちも分かります。
ただ、価格だけでサービスを選び続ければ、
費用のかかるサービスから消えていきます。
たくさんの物件写真。
細かな物件情報。
店舗での相談。
車での内見。
採寸。
物件提案。
地域情報。
こうしたサービスを必要とする人がいるなら、
それを提供する会社が事業として続けられることも必要です。
結論|良いサービスだったなら、その会社で契約してほしい
全国対応。
オンライン完結。
格安仲介。
それぞれにメリットがあります。
利用すること自体を否定する記事ではありません。
ただ、
物件探しはA社。
写真はA社が撮ったものを見る。
相談もA社。
内見もA社。
採寸もA社。
最後の契約だけB社。
これが当たり前になれば、A社がサービスを維持することは難しくなります。
そしてその先で困るのは、不動産会社だけとは限りません。
これから部屋を探すお客様が、便利なサービスを受けられなくなる可能性があります。
だからお願いがあります。
良い写真だった。
良い提案だった。
良い案内だった。
この人に頼んで良かった。
そう思えたなら、
その仕事をしてくれた不動産会社で契約することも、選択肢の一つとして考えてください。
不動産屋を価格だけで比べるのではなく、
「この会社には、これからもこのサービスを続けてほしい」
そんな選び方があってもいいと思います。
FAQ
Q1. 内見した不動産会社とは別の会社で契約できますか?
物件や取引状況によりますが、同じ物件を複数の仲介会社が取り扱えるケースはあります。ただし、すでに相談・提案・内見などのサービスを受けている場合、その会社がどんな仕事をしてくれたのかも含めて判断してほしいと考えています。
Q2. オンライン不動産会社は悪いのですか?
オンライン型そのものが悪いわけではありません。来店や提案が不要で、手続きをシンプルにしたい人には合う場合があります。
Q3. SUUMOやHOME'Sへの掲載は無料ではないの?
利用者は無料で検索できますが、不動産会社側には掲載サービスの利用にコストが発生する仕組みがあります。HOME'Sも不動産事業者向けに掲載サービスと料金案内を提供しています。株式会社LIFULL(ライフル)
Q4. 物件写真は誰が撮影しているの?
物件によって異なります。不動産会社や管理会社などが用意するケースがあります。仲介会社が実際に現地へ行き、独自に室内写真を撮影して掲載することもあります。
Q5. 仲介手数料は契約書を作るためのお金?
契約手続きだけではなく、物件紹介、条件整理、空室確認、内見対応など、仲介業務全体の中で発生する報酬として考えるほうが実態に近いです。
Q6. 安さとサービス、どちらを選べばいい?
何を必要としているかで選んでください。物件が完全に決まっていて手続き中心なら価格を重視する選択もあります。提案、内見、採寸、比較、地域情報などまで求めるなら、サービス内容も含めて比較することをおすすめします。
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